ツリーハウスであそぼう!

(にぎやかツリーハウス)

 ショコラウサギさん一家が車で海にあそびにきました。
「なみとおいかけっこをしようよ!」
「貝がらもひろいたい!」
と、子どもたちは大はしゃぎ。
 海にはみんなの大すきなあそびがいっぱいなのです。

 そして、しばらくあそんでいるうちに、ショコラウサギの女の子は海べのおかに一本の木がたっていることに気がつきました。
「わあ、大きな木……。」
と、そばまで行ったショコラウサギちゃんは、その木の大きさにびっくり。
「あの一番高いところまでのぼってみたいな。きっと遠くまで見えるよ。」
 ショコラウサギの男の子も木を見上げて言いました。
 お父さんがロープをえだにかけてブランコを作ってあげると、赤ちゃんは大よろこび。
 子どもたちもえだにぶらさがったり、みきのあなをくぐったりして、楽しそうにその木であそんでいたのですが……。
 じつは、そのとき、一番ワクワクしていたのはお父さんでした。
(ぼくも小さいとき、木のぼりがすきだったな。木の上に家を作ってもらって、ひみつの家ってよんでたっけ。)
 子どもたちの楽しそうなようすを見ながら、ショコラウサギさんは自分の小さいころのことをなつかしく思い出していたのです。

 よく日、ショコラウサギさんがその話を村のお父さんたちにすると、
「ぼくたちも木の家であそんだよ!」
「ロープをつかって木にのぼったり、てんぼう台を作ったり、楽しかったよね。」
と、話は大もりあがり。
 夜になってもおわわらないほどでした。
 そして、つぎの休日。
 ショコラウサギちゃんが目をさますと、もうお父さんは車で出かけたあとでした。
「あれ?お父さんは?」
「お父さんは、ほかのお父さんたちと海に行ったのよ。」
と、お母さんに教えてもらって、
「えー、いいなあ。お父さんたちだけであそぶの?」
と、ふしぎそうに首をかしげるショコラウサギちゃんとショコラウサギくん。
 お母さんはそんな子どもたちをわらって見ているだけでした。

 そして、夜おそく、お父さんはちょっとつかれて、でもとっても楽しそうな顔で帰ってくると、
「こんど、お友だちみんなと海に行こう!」
と、子どもたちをさそってくれたのです。
「わーい!うれしいな。」
と、ふたりは大よろこび。
 さっそくつぎの日曜日、村のみんなは海に出かけていくことになりました。
 でも、海に近づいてくると、お父さんたちがみんなをつれて行ったのは、はまべではなくおかのほう……。
 そして、おかの上まで来ると、
「わあ、すごーい!」
子どもたちは、あの木を見てびっくり。
 えだの上にはデッキや丸太のお家が作られて、すてきなツリーハウスになっています。
 デッキに上がるはしごや、すべり台もあって、ものすごくおもしろそう。
 ワクワクしながら目をかがやかせている子どもたちに、お母さんが、
「このあいだ、お父さんたちがこのツリーハウスを作ってくれたのよ。」
と、そっと教えてくれました。
「お父さん、ありがとう!」
と、子どもたちはおれいを言うと、
「やったー!ツリーハウスだー。」
と、ツリーハウスにむかってかけ出していきました。

 まず、はしごをのぼると、そこはひとつ目のデッキ。
 もうひとつはしごをのぼると、ふたつ目のデッキで、そこには丸太のお家がたてられています。
 シルクネコの女の子は、はしごのおかげで高いところまでのぼれて、
「こんな高いところ、はじめて。」
と、うれしそう。
 はしごをのぼれない赤ちゃんたちのためには、上にあがれるかごつきのリフトもあります。
「わあ、たかい、たかい!」
と、赤ちゃんたちも大はしゃぎ。

 丸太のお家の中はあそびのおへやです。
 みきの中にもふたつのおへやがあって、おままごとやおしゃべりをするのにぴったり。
「こんどおもちゃをもってこようよ。」
「ぼく、ここにハンモックをつって、おとまりしてみたいな。」
子どもたちはさっそく楽しい計画をたてはじめました。
 デッキからいっきにおりるすべり台はスリルまんてん。
 長いロープのブランコもあって、もう赤ちゃんたちのじゅん番のれつができています。
 上のデッキからは、かいだんでもっと高いえだにのぼれます。
 木のぼりが大すきなグレイッシュネコの男の子はさっそくこのかいだんをのぼっていって、
「わあ、うーんと遠くまで見えるよ!」
と、てんぼう台がお気に入りになりました。
 しばらくすると、お父さんたちが用いしてくれたバーベキューのいいかおりがしてきました。
「お昼もツリーハウスの上で食べたいな。」
と、子どもたち。
 そんな子どもたちを、お父さんたちがうれしそうなえがおで見まもっています。
 まるで海のむこうまでとどきそうなほどにぎやかなみんなの声が、いつまでもツリーハウスのまわりにひびいていました。

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