海べのログコテージ

(おとまりファミリーコテージ )

 ある日のこと、シルバニア村のみんなは海へあそびにやってきました。
車のまどから海が見えてくると、子どもたちはもううれしくて大さわぎです。
いつだって海であそぶのは楽しいけれど、今日はとくべつ。
はじめて海べでおとまりをするのです。
もともと子どもたちは海が大すき。
そこにツリーハウスもできて、とても一日ではあそびきれません。
それで、
「もっと、ツリーハウスであそびたい!」
「海でおとまりがしてみたいな。」
というみんなのねがいをかなえるために、お父さんたちがきょう力してツリーハウスのとなりにコテージをたててくれたのです。
車からおりてコテージを見たとたん、子どもたちは、
「すごーい!丸太のお家だ!」
と口々にかん声をあげました。

 コテージは、かべやはしらがぜんぶ丸太でできたログハウス。
ウッドデッキを通ってげんかんをあけると、中は広々としたおへやになっています。
「わあ、ロフトがある!」
ショコラウサギの女の子が、おへやについているすてきなロフトを見上げてうれしそうに言いました。
ロフトに上るはしごも、もちろん丸太です。
ショコラウサギの男の子とグレイッシュネコの男の子ははしごでロフトに上ると、ハンモックを見つけて大よろこび。
「今日はここにねようね。」
とやくそくをして、今から夜が楽しみでしかたありません。
女の子たちはロフトからテラスに出てみました。
「見て!見て!海が見える。」
「ツリーハウスにも行けるわ。」
と、みんなうれしそう。

 テラスのはしごを上ると、そこがツリーハウスのデッキなのです。
「ねえ、みんな、海まできょうそうしようよ。」
と、くるみリスの男の子が言うと、子どもたちは水ぎにきがえてかけ出していきました。
うきわでなみにゆられたり、きれいな貝がらをひろったり、海は楽しいあそびでいっぱいです。
「大きな魚をつるから楽しみにしててね。」
と、グレイッシュネコくんたちはつりざおをもって近くの岩場にむかいました。
 はまべでは、ショコラウサギくんたちがビーチバレーのまっさいちゅう。
いっしょに走りまわっていたショコラウサギの赤ちゃんもすなだらけです。
「ごはんの前に、おふろに入ろう。」
そう言って、みんなはコテージにもどりました。
 コテージのおふろはろ天ぶろ。
風にふかれたり、星を見ながら、みんなでゆっくりと入ることができるのです。
でも、
「みて、あわがぶくぶく!」
「あわのアイスクリームだよ。」
と、赤ちゃんと子どもたちはあわだらけではしゃぎはじめ、みんなにとってはおふろもあそび場みたい。

 海が夕やけにそまるころ、
「みんな、ごはんよ。」
と、ショコラウサギのお母さんの声といっしょに、ウッドデッキからバーベキューのおいしそうなかおりがただよってきました。
「おなかペコペコ!」
と、ウッドデッキにあつまった子どもたち。
いつもならそろそろ帰らなければならない時間だけど、今日はこれからが楽しいおとまりです。
「この魚はぼくたちがつったんだよね。」
と、グレイッシュネコくん。
みんなでつった魚はとびきりのおいしさでした。
 空いっぱいに星がかがやき出したころ、子どもたちはみんなでテラスにあつまりました。
星を見ながら、星ざのもの語をしたり、ないしょのおしゃべりをしたり。
星がひとつ、キラキラ光りながら空をながれていくと、
「なにかねがいごとをしようよ。」
「また、コテージにこれますように。」
子どもたちは口々にそんなねがいごとをつぶやいたのでした。

 やがて夜はふけて、
「今日はうんとおそくまでおきてようね。」
とみんなでやくそくしたはずなのに、ベッドでおしゃべりしていた女の子たちも、ハンモックであそんでいた男の子たちも、いつのまにかぐっすりゆめの中。
かべの小さなまどからは、月の光がしずかにさしこんでいました。
 よく日、村へ帰る前に、子どもたちはみんなで海べをおさんぽしました。
「きれいな貝がらがたくさんあるわ。」
と、すなの中からピンク色に光る貝がらを見つけたのはラッコの女の子。
ちょうどそこは、夕べながれ星がおちたあたりです。
「ながれ星が貝がらになったのかな?」
「コテージに来た記ねんのたからものにしようよ。」
と、子どもたちは貝がらをひとつずつ、そっと手にとりました。
はじめての海でのおとまりもそろそろおわり。
「ああ、楽しかった!」
「お父さん、またつれてきてね。」
「コテージさん、また来るからね。」
走り出した車のまどから、子どもたちはコテージが見えなくなるまでずっと手をふっていました。

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