トイプードルちゃんの一日先生

 

(トイプードルの女の子)

 トイプードルの男の子が、みんなにおべんきょうを教えています。
 それを見ているトイプードルの女の子は、いつも思っていました。
「わたしもみんなになにか教えられるものがあるといいのに。」
 でも、はずかしがりやなので、みんなの前で話すのはにがてです。
 ある日、トイプードルの男の子が言いました。
「みんな、先生ごっこをしてみない?じぶんがとくいなことを、先生になって教えるんだ。」
「じゃあ、わたしはお花のじゅぎょうをしたいな。」
「ぼくは木のぼりの先生!」

 でも、トイプードルちゃんは、教えるものが思いうかびません。
 すっかりこまってしまい、お家でお母さんにそうだんしました。
 すると、お母さんは、
「今、れんしゅうしているケーキ作りを、教えてあげたら?」
「だめよ、まだ作れないもの。」
「あら。もうじゅうぶん、すてきなケーキを作れるじゃない?」

 お母さんにそう言われて、トイプードルちゃんは考えました。
「わたしが作れるケーキ…?」
 そして、いよいよみんなに教える番になりました。
 その日は、朝からお母さんといっしょに買いものへ行ったり、森で野いちごをとってきたり。
 お家に帰ると、こなとミルクをボールでまぜはじめました。

 さあ、そろそろみんなが、お家に来る時間です。
「トイプードル先生、こんにちは!」
 みんながへやに入ると、おいしそうなにおいがしてきました。
 テーブルにはたくさんのパンケーキと、それをかこむようにフルーツやチョコレート、クリームやナッツがならんでいます。

「今日は、パンケーキのデコレーションを教えます。オーブンをつかうケーキはれんしゅう中だけど、パンケーキなら、上手に作れるのよ。」
「わー、おいしそう!」
 さいしょにそう言ったのは、くるみリスの女の子。
「わくわくするね!」
と、ショコラウサギちゃん。

 みんなは、トイプードルちゃんにならって、パンケーキにすきなものをデコレーションしました。
野いちごとクリームをのせたり、りんごとチョコレートをのせたり。
「とっても楽しい!」
「教えてくれて、ありがとう!」
「また、ケーキ作りを教えてね。」
トイプードルちゃんは少してれながら、にっこりうなずきました。