お母さんのまほうのケーキ

 

(トイプードルのお母さん)

 トイプードルのお母さんは、ケーキを作るのがとくいです。
 どのケーキもとてもきれいでおいしいので、みんなトイプードルさんのケーキが大好き。
 ある日、トイプードルの女の子は、ショコラウサギの女の子にごちそうするために、お母さんにケーキ作りをならうことにしました。
「さあ、はじめましょう。」
 ざいりょうをはかり、じゅんばんにまぜあわせます。
「しっかりまぜないとおいしくならないから、がんばって。」
 トイプードルちゃんは力をこめてまぜますが、なかなかうまくまざりません。
「ケーキ作りって、むずかしいね。」
「だいじょうぶよ。お母さんも、さいしょはうまくできなかったの。」

 そして、トイプードルちゃんがケーキのかたをいよいよオーブンへ入れようとした、そのとき!
 かたがゆかにおちて、生地が半分こぼれてしまったのです。
「あっ!たいへん、どうしよう……。」
 トイプードルちゃんは、なきだしてしまいました。
「あらあら、でも、だいじょうぶよ。お母さんにいい考えがあるわ。」

 そういうとお母さんは、ケーキのかたを、そのままオーブンに入れたのです。
「こんなに生地が少ないと、いつものふんわりしたケーキができないんじゃないかしら……。」
 ふあんそうなトイプードルちゃんににっこりわらいかけると、お母さんは、よういしていたクリームにピンクの色をつけました。

「どうするの?」
「できてからのおたのしみよ。」
 ケーキがやきあがり、キッチンにいいにおいがしてきました。
「やっぱり、いつもより小さいケーキになっちゃった。」
 ケーキをオーブンからとりだし、がっかりするトイプードルちゃん。
「さあ、これからクリームで、ケーキにかざりをつけましょう。」

 お母さんは、クリームをじょうずにしぼり出して、ピンクのバラを作りはじめました。
「わあ、すてき!」
 トイプードルちゃんがいちごをケーキにのせて、かんせいです。
「お母さんもね、同じしっぱいをしたことがあるの。でも、ケーキを楽しみにしてくれるひとがいるのだから、がんばらないとね。」

 トイプードルちゃんがケーキを出すと、ショコラウサギちゃんは、
「わぁ、お花ばたけみたい!」
と、よろこんで食べてくれました。
「うまくいかなくても、さいごまで心をこめて作れば、きっとあいてに気もちがつたわるわ。」
 そう言うと、お母さんは、トイプードルちゃんの頭をやさしくなでたのでした。