お父さんのスカーフ

 

(トイプードルのお父さん)

 トイプードルのお父さんは、スポーツがとてもとくい。
休みの日には、子どもたちにサッカーをおしえてくれます。
今日はそのれんしゅうの日。
「さて、何を着ていくかな。」
トイプードルさんは、村一番のおしゃれさんでもあります。
スポーツをするときも、いつもすてきなふくをきているのです。
 したくを終えてリビングを通ると、テーブルの上に、ピンクのチェックがらのぬのがおいてあるのが目にとまりました。
「こんなところにすてきなスカーフがあるな。今日のふくにぴったりだ!」
お父さんは、ぬのを首にまいてかがみでチェックすると、まんぞくそうに出かけていきました。

 広場には、れんしゅうを楽しみにしているこどもたちが、たくさん集まっています。
「いつもおしゃれだなぁ。」
トイプードルさんのファッションは、みんなのちゅうもくのまと。
「今日はキックを教えるよ。」
トイプードルさんは首にまいたスカーフをなびかせながら、キックのお手本をしてみせました。

 れんしゅうも終わりに近づいたころ、とつぜん雨雲が空をおおったかと思ったら、ポツリポツリと雨がふりはじめました。
「今日のれんしゅうはこれまで!
みんな、雨がやむまで、うちで雨やどりをしよう。」
お父さんはそう言うと、みんなといっしょに、雨の中を走ってお家までもどりました。

 トイプードルさんとこどもたちがリビングに入ると、トイプードルのお母さんが、何かをさがしています。
テーブルの下をのぞきこんだり、引き出しをあけたり。
「何をさがしているの?」
「ふたごちゃんのふくを作るぬのがなくなってしまって……。ピンクのチェックがらなんだけど。」

 それを聞いたこどもたちは、いっせいにお父さんのほうをふりむきました。
お父さんはみんなのしせんをあびて、きょとんとしています。
その首には、ピンクのチェックがらのスカーフが!
「まあ、こんなところにあったわ!」
みんなはドッとわらいました。

「スカーフじゃなかったのか。」
と、お父さんはてれくさそう。
「じゃあお父さんには、色ちがいの青いチェックのぬので、スカーフを作ってあげるわね。」
お母さんが言うと、お父さんは、
「本当かい?やった!」
と、大よろこび。
それを見て、みんなはまた大わらいしたのでした。