あこがれのはっぴょう会

 

(森のバレエ劇場)

 毎週水曜日は、バレエのレッスンがある日。
 ショコラウサギの女の子は、ペルシャネコの女の子といっしょに元気にけいこ場にむかいました。
「ペルシャネコちゃん、あれ見て!」
「わぁ、きれいなチュチュね。」
 ブティックの前を通ると、白いふわふわのチュチュがかざってあります。
「いつかこんないしょうでおどりたいね。」
と話している内に、とうちゃくです。
 バレエの先生は、シルクネコのお母さん。
村で一番ダンスがうまくて、いつもこどもたちにやさしくバレエを教えてくれます。
「アン ドゥ トロワ……はい、つまさきをまっすぐのばして。」
 子どもたちはバーにつかまって大きなかがみを見ながら、足を高く上げたり、うでをゆうがに広げたり。
 レッスンがおわった後、先生はみんなをあつめて言いました。

「こんど劇場で、はっぴょう会をすることになりました。しゅやくのおひめさまは、ショコラウサギちゃんです。」
 ショコラウサギちゃんはびっくり!
お家に帰って、家族にほうこくすると、みんな大よろこびです。
 その日から、ショコラウサギちゃんは毎日れんしゅうしましたが、さいごのターンだけがうまくできません。
「本番でうまくおどれるかしら……。」
と、ショコラウサギちゃんは、ちょっぴりふあんそう。

 そして、はっぴょう会が近づいてきたある日、ショコラウサギのお母さんが、大きなはこをもってきました。
「さあ、いしょうができたわよ。」
 中にはキラキラしたかざりのついた白いチュチュ。
そのよこには、ぎん色のティアラも!
「このティアラをつけてぶたいに出たら、きっとすてきにおどれるわ。」
「ありがとう、お母さん!」
 かがやくティアラを見ていたら、何だかゆうきがわいてきました。

 いよいよ本番の日。
 劇場は、オフホワイトのかべに、きれいなカーブをえがいたやねやはしらが、とってもおしゃれなたてものです。
 大きなとびらをあけて中に入ると、ライトにてらされキラキラと光るぶたいが、まるでゆめのせかいのよう。
「わぁ!すてき!」
「はっぴょう会が楽しみね。」
 ドキドキしながら、みんなはがくやに入り、メイクをして、いしょうにきがえました。

 ぶたいのそでで出番をまつ間、ショコラウサギちゃんは、ティアラにそっとふれて、うまくいきますように……と、心の中でおいのりしました。
 とうじょうの音楽がながれてきます。
ショコラウサギちゃんは、きょくに合わせてぶたいへと出ていきました。
 きゃくせきのみんなが、うつくしいバレエに見とれているようすがぶたいからも見えて、ショコラウサギちゃんは、おどりながら、本当のおひめさまになったような気持ちです。

「おねえちゃん、きれい!」
ショコラウサギの赤ちゃんも、はじめて見るバレエにうっとり。
 さあ、いよいよクライマックスのターンです!
 くるくるくるくる……ぴたり!
ショコラウサギちゃんは、むずかしかったターンをみごとにきめました。
 みんなのはくしゅが劇場にひびきわたり、はっぴょう会は大せいこう!
 ショコラウサギちゃんは、ぶたいの上で、うれしそうにほほえみました。