思い出のケーキ
(ショコラウサギの女の子)
ショコラウサギの女の子のしゅみはお絵かきやおかし作り。
そして、なによりすきなのが、お友だちをよんでティーパーティーをひらくことです。
「おかしをたべにきてね。」
と、ショコラウサギちゃんからみんなにとどくしょうたいじょうはどれもおいしそうなおかしのイラストつき。
「見ているだけでほっぺがおちそうになっちゃう。」
と、大ひょうばんです。
きれいにデコレーションしたおかしをテーブルにならべて、
「いらっしゃい!」
と、おでむかえ。
ショコラウサギちゃんの心をこめたティーパーティーをみんなもとっても楽しみにしていました。
そんなある日、くるみリスの女の子がふとこんなことを言いました。
「ずっと前、ショコラウサギちゃんといっしょにすごくおいしいケーキを食べたでしょう。あのケーキをもういちど食べたいな。」
「わたしもおぼえているわ。じゃあ、あのケーキを作ってみない?」
と、ショコラウサギちゃん。
でも、それはふたりがまだ小さかったころのことなので、きおくがあいまいです。
「木のみが入っていたと思うわ。」
「クリームがのってたっけ?」
ふたりで思い出しながらいろいろ作ってみたのですが、どれもすこしちがうかんじです。
こなだらけになったキッチンでふたりはこまってしまいました。
そのとき、
「これかしら?」
と、ショコラウサギのお母さんが見せてくれたのは、ショコラウサギちゃんの古いスケッチブック。
そこには、ショコラウサギちゃんがお母さんとはじめて作ったケーキを、みんなといっしょに食べている絵がかかれていました。
「そう!これよ!」
いっしょうけんめい作ったケーキをみんながよろこんでくれたのがうれしくて、きねんにかいた絵を、お母さんが大切にとっておいてくれたのです。
「お母さん。ありがとう!」
クリームの上にきれいないちごや木のみをたくさんかざって……と、絵を見ながら同じケーキを作ったショコラウサギちゃんたち。
できあがったケーキを食べてみると、思い出と同じおいしさです。
ショコラウサギちゃんたちはさっそくお友だちをよんで、ティーパーティーを開きました。
「わあ、おいしい!」
みんなによろこんでもらえて、ふたりもうれしそうににっこり。
またひとつ、おいしくてすてきな思い出ができました。